相続した土地を分ける「分筆」とは?節税効果がある?
土地などの不動産は財産分割によって複数相続人間で分割されることになります。
そのような相続権利者の間で行われる分割とは別に、一つの土地そのものを法律上分割する方法を「分筆」といいます。
法律的に線分けされるもので、法務局で登記される必要があります。
この章では分筆を活用した相続税対策について解説していきます。
相続で土地はどのように評価されるか
相続税の計算において、土地は市場価格ではなく国が定めた財産評価基本通達によって評価額を算出することになります。
土地の評価法でメインとなるのが路線価を用いる評価法です。
この評価方法では、各土地の地積と対応する路線価を掛け合わせて基本価額を求めますが、実際には様々な補正計算が加えられていきます。
基本的なルールとして、道路に多く面している土地が高く評価されることになり、つまりは相続税の計算上は不利になります。
逆に道路に面する部分を減らすことによって評価を下げることができ、そのために利用できるのが分筆というわけです。
分筆を上手く活用すれば土地の評価を下げることができる
分筆で土地の評価を下げることができるカラクリは道路に面する範囲、及びそこからの奥行きを計算するという路線価計算の仕組みにあります。
例えば、正面と裏面の二つの道路に面している土地があれば、それを半分に分割して正面道路のみに面するAと裏面道路のみに面するBという二つの土地にすると、評価額を高める作用がある正面道路に面さないBの評価が下がり、二つの土地全体としての評価額を抑えることができます。
また角地を分筆して二つの土地に分け、一方の土地を角地としての評価を受けない状態にすれば、利用効率が下がる非角地の方の評価を下げることができ、土地全体としての評価額を抑えることができます。
他にもその土地に応じてやり方がありますが、分筆による節税を行うにはどのような土地がどのような形状であるのかを詳しく把握することが必要です。
相続発生後でも分筆は可能
分筆を利用した相続税対策は相続が起きた後からでも活用することができます。
相続税の申告期限は相続開始から10か月後ですから、その時までに分筆を終えることができれば利用することができます。
分筆は測量や登記が必要になるので、通常は土地家屋調査士が代行して行うことになります。
自分でやることも不可能ではありませんが、実務はかなり大変なので専門家に任せる方が無難です。
一定の期間を要しますので相続開始後に分筆をするならば早めに相談するようにしましょう。
当事務所では信頼できる土地家屋調査士と連携しているので、すぐに対応が可能です。
分筆を検討する際に気を付けること
分筆を用いて相続税対策とする場合には、分筆後の土地をそれぞれ別の所有者になるようにしなければなりません。
せっかく分筆しても、同一の所有者になると一つの土地として評価されてしまい節税効果が得られなくなってしまうので注意しましょう。
また節税効果を追求しすぎて不合理分割として見られてしまうと、税務署に認めてもらえず、分筆前の状態で評価されてしまうのでこちらも要注意です。
次の項なケースでは不合理分割とみられてしまうことがあります。
- 道路に面しない無道路地ができてしまう
- 利用効率が非常に悪い土地ができてしまう
- 建築基準法の接道義務(道路に2メートル以上接すること)を満たさない土地ができてしまう
- その他土地としての有効利用ができなくなる土地ができてしまう
以上のような土地を生み出してしまうとせっかくの分筆が無駄になってしまう恐れがあるので、専門家に相談しながら進めることが大切です。
トラブル回避の為に専門家を上手に活用すること
分筆によって相続税の負担軽減を狙うには、綿密な計画と有効性の確認が必要になります。
これには税理士など専門家の調査が不可欠です。
素人考えで実行してしまうと思わぬ落とし穴にはまったり、節税効果を得られない事態になりかねません。
税務署に否認されてしまうリスクも内在していますので、税理士の視点で個別ケースを検討する必要があります。
また分筆による節税効果を得るには所有者を別にする必要があるので、土地を分けて複数人が所有することについては権利者同士のトラブルにつながる可能性もあります。
税方面の対策だけでなく、相続全体を見て不都合が無いように事を進めるためにも専門家を上手く使うことが望まれます。
分筆による相続税対策は当事務所にご相談ください
分筆は相続税の負担を軽減することができますが、節税策の難易度としては高い部類に入ります。
上手に節税効果を得るため、そして相続全体のスムーズな処理のためにも専門家の関与は欠かせません。
当事務所はあなたのケースで最適な分筆を提案しますのでぜひご相談ください。
信頼できる土地家屋調査士とも連携しておりますので、相続発生後の分筆もスピーディに行うことができます。