相続税対策の話題ではどうしても税金の額を少しでも下げようと節税の方面にばかり話題が行きがちですが、実はそれよりももっと優先すべきことがあります。
それは相続税の納税を無事に済ませられるだけの資金を確保できているかどうかです。
「そんなの遺産の中から捻出すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、これがそう簡単に済ませられる話ではないのです。
今回は相続税の納税資金確保の重要性とその方法について解説します。
節税の前にまずは納税資金の確保
相続税の問題をクリアにして安心したいのであれば、
まず何よりも先に納税についての問題が無いことを確認しておくことが大切です。
現状の資産を分析して、そこから導き出される相続税額を納税するための「現預金」があるかどうかを確認してみましょう。
相続税は次項で述べるとおり期限までに決まった方法で納付しないとペナルティが課せられるからです。
現状を分析して納税資金があるならばまずは一安心。
もし足りないのであれば、そこから節税など納税資金を確保する為の具体的な方策を練っていけば良いのです。
納税できないと大きなデメリットがある
相続税は
相続発生から10か月以内に申告納付しなければ一定のペナルティが課せられます。
納税は「金銭で」「一括納付」しなければならず、納税が遅れると以下のようなペナルティが待っています。
延滞税 |
納税期限までに間に合わなかった場合、納税されるまでにかかる利息分が一定の年利で追加されます。 |
無申告加算税 |
相続税を期限までに納付しない場合の「罰」として、延滞税とは別に、実際に納付すべき額に一定額が上乗せされます。 |
重加算税 |
遺産隠しや悪意をもって脱税するなどの悪質性の高い事案では無申告加算税に代えてもっと重い重加算税が課せられます。 |
上記の他に、事実よりも少なく見積もって相続税を納めた場合に適用がある過少申告加算税というものもあります。
どうしても納税資金が確保できない時には「延納」や「物納」と言う救済策もありますが、デメリットの方が大きく絶対に避けるべきものですので、やはり納税資金の確保は至上命題となってくるのです。
遺産に不動産が多く含まれる時は要注意
我が国の相続事情では遺産中に占める不動産の額が大きいことが特徴です。
相続税額を減らす対策として意図的に不動産を買い増し、現金を不動産化するということもありますが、そのような特別なことをしなくてもやはり不動産の占める割合が一般的に大きいのです。
税制上の特例などのおかげで評価額を押さえられる特典がある一方、
不動産に偏りすぎた遺産から相続税の納税資金を捻出することが難しいケースもよくあります。
不動産は相続人の間で分け辛いという側面があるだけでなく、納税面でも不利な側面を見せることがあるので注意を要します。
納税資金を確保するには?
納税資金をより有利に確保するには、
必要となる相続税額をできるだけ圧縮して負担を減らし、且つ浮いた分を納税資金に回す「節税」と、それでも足りない分を補う資金調達の二つの手段を考える必要がでてくるでしょう。
節税方面では色々と手法があるので税理士の腕の見せ所ですが、例えば生命保険を使った手法がよく検討されます。
相続財産の額を圧縮し、さらに遺族に一定の納税資金を残すことが可能です。
また基本中の基本である贈与税の基礎控除を用いた対策も大変有効ですが、こちらは長期計画で事を進める必要があります。
資金調達方面では、不動産の換金に十分な時間を確保できるようにすることです。
相続人間で遺産分けを確定させ、さらに所有権移転登記を済ませておかないとなりませんし、そこから不動産業者に相談しても売却成功まで数か月は必要になります。
納税資金の確保は早めに行っておくことが大切
上述したように、節税によって納税資金を確保するにしても、不動産の換金などで資金調達をするにしても、どうしても時間がかかってしまうので
早めに行動するのが鉄則です。
最低でも、相続発生前の現時点で納税金があるのかないのか、そこをはっきりさせておきたいものです。
財産を洗い出せば必要資金額が分かりますから、もし現預金があるのであればゆっくりと節税方面を考えれば良いですし、足りないのであれば積極的に節税と資金確保の戦略を練ることになります。
このような生前における相続税対策も税理士の得意分野ですから、ぜひ我々専門家を頼ってもらいたいと考えます。
相続税の納税対策は当事務所にご相談ください
当事務所では相続税の問題に特に力を入れていますから、相続税の納税資金の確保問題もお任せください。
まずはお客様に安心を得てもらうことを第一に考えておりますので、丁寧なヒアリングを行って今のあなたの現状をしっかりと洗い出します。
あなたに合ったオーダーメイドの相続税対策を考えることができますのでぜひ一度ご相談頂ければと思います。