相続財産には何が含まれる?計算上注意すべき「みなし相続財産」とは?

相続税の話ではよく、「遺産総額〇〇万円までなら基礎控除の枠内で相続税がかかりません」などと話されることがあります。

数字で説明されると話が伝わりやすく、納得もしやすいですね。

上の遺産総額というのはつまり相続財産のことですが、現預金や不動産以外にどんなものが含まれてくるのでしょうか。

相続財産は民法上と相続税法上では若干性質が異なるところがありますが、今回は相続税の計算に関係してくる相続税法上の相続財産について解説します。

何が「相続財産」となるのか?

まず、本来の相続財産には、現預金、不動産、有価証券、貴金属類、骨董品、事業用(個人事業)の財産などがあります。

意外なものに「立木」というのもあり、いわゆる「木」のことですが、財産的価値のあるものであれば課税対象になるため計算が必要です。

特に果樹や山林の木々などは評価対象に入ってきますし、庭にある木などでもそれなりのお金をかけて手入れをしているものなどは評価対象に入ってくることもあります。

立木以外の財産はまあ分かりやすいとは思いますが、実際には後述するようにもっと色々な性質を持った財産が加味されることになります。

例えば借金などのマイナスの財産です。

借金などマイナスの財産も対象

借金などの一定の債務と一定の葬儀費用は「債務控除」といって相続財産の額から減額して計算することができます。

相続財産の総額を減らせるわけですから、債務控除は国民に有利な働きをしてくれることになります。

ただし同じ借金や葬儀費用でも、ものによっては債務控除として扱えないものもあるので大変わかりづらいのが難点です。

例えば生前の被相続人の通常の借金や未払い医療費、通夜費用などは債務控除にできますが、墓地の購入費の未払い金や香典の返戻金などは対象外となります。

適用の有無に関しては個々に税理士等に確認するのが安全です。

課税対象にならない非課税財産とは?

一見、相続財産に入りそうなものでも、国民感情への配慮や政策上の目的で課税対象としない「非課税財産」も相続財産に含めずに計算します。

例えば以下のようなものがあります

  • 仏壇仏具、墓地、香典など
  • 一定の生命保険金(限度額は500万円×相続税法上の法定相続人の数)
  • 一定の退職手当金(同)
  • 一定の弔慰金
  • 国や自治体への寄付

など

非課税財産のうち生命保険金は相続税対策や葬儀費用の確保など色々な目的で活用することができるので、税理士がよく相談を受ける項目でもあります。

当事務所でも得意としておりますのでお気軽にご相談ください。

「みなし相続財産」の加算に注意!

相続財産は被相続人が「生前に」保有していた財産であるわけですが、厳密にはそうではない財産であっても実質的に被相続人に帰属すると考えられる以下のような財産は「みなし相続財産」として相続財産に含んで計算する必要があります。

例えば以下のようなものがあります。

  • 被相続人の死亡によって相続人等に支給される生命保険金で被相続人が保険料を負担していたもの
  • 死亡退職金のうち死亡後3年以内に支給額が確定したもの
  • 生命保険契約に関する権利(相続時に保険事故が発生していない掛け捨て以外の生命保険契約で被相続人が保険料を負担するもの)

など

みなし相続財産も個別の扱いが多少難しく漏れが生じやすいので注意が必要です。

相続開始前3年以内の贈与が落とし穴に!?

相続発生から3年前以内になされた贈与財産については、これを相続財産に含めて計算しなければならないとされています。

人は自分の死期を考え始めると相続財産を事前に減らそうとして財産移転が活発にされるということが分かっているため、国側から見て牽制の意図からこのルールができたと考えられます。

この期間の贈与財産の評価は贈与時の相続税評価額で計算し、贈与税の基礎控除については考慮されません。

また2000万円の控除を受けられる配偶者の贈与税の特例を利用していた場合、控除後の残額を加算します。

早めの生前対策で相続税を軽減しよう

今回は相続税の計算で必ず必要になる「相続財産」の扱いについて見てきました。

本来の相続財産となる現預金や不動産はもちろんですが、実際には一定の借金や非課税となる財産を控除したり、逆に一定の財産を加算したりとその計算は結構複雑になっています。

はっきりしているのは、相続財産の額を減らすことで相続税の負担も減るということです。

いわゆる生前対策をうまく行うことでこれが可能になりますが、これは短期間ではなかなか難しいので時間をかけて行うのが基本です。

短期間では十分な節税効果がでにくいことと、上述した相続開始前3年以内の贈与財産の加算の問題もあるからです。

ですから早めに税理士に相談して、あなたに合った対策を練ることが大切になってきます。

生前対策は当事務所にお任せください

あなたの場合相続財産に何が含まれ何が控除されるのか、少しでも相続財産を減らして遺族に多くの財産を残すにはどうすればいいのか、一人で悩んでいても答えはでません。

当事務所は客様の話をよく聞いて現状を正確に把握し、的確な生前対策を立案することができるように心がけています。

ぜひ一度横浜・川崎の当事務所にご相談くださいませ。