相続が開始されたら、まずどうする?預金や有価証券、金融資産の確認方法
相続が開始されたら、まず何をしないといけないのか迷う人も少なくないでしょう。相続税は、被相続人(亡くなった人)が所有している財産に課される税金であるため、まずはどの財産をいくら持っているのかを確認する必要があります。
ここでは、相続財産の基本である預金や有価証券などの金融資産の確認方法について解説します。
相続の基本となる金融資産とは
相続が開始されたときに、まず確認しなければならないのが金融資産です。なぜなら、ほとんどの被相続人が金融資産を所有しているからです。
金融資産とは、所有している資産の中で、土地や家屋といった不動産や機械・設備といった固定資産などの現物資産を除いたもののことをいいます。例えば、現金や預金などが金融資産に該当します。
金融資産の代表的なものとして、次のようなものが挙げられます。
①現金 | 相続開始時に、被相続人が所有していた現金のことです。財布などの中にあったものや、金庫やタンス、銀行などの貸金庫などで保管している現金も相続財産になります。 |
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②預金 | 普通預金や定期預金などです。 |
③上場株式 | 証券取引所などで取引されている株式のことです。証券会社などを通じて取引されていることが多いです。 |
④非上場株式 | 証券取引所などで取引されていない株式のことです。被相続人が会社の経営者や役員などの場合、所有していることが多いです。 |
⑤投資信託 | 金融機関や証券会社などが投資家からお金を集め、そのお金を専門家が運用する金融商品のことです。利益が出れば、投資家に配分します。 |
⑥公社債 | 国債、地方債、社債などのことです。 |
これら金融資産は、相続税の対象となります。
いざという時を考え、どこに何があるかをわかるようにしておくことが大事
金融資産には現金や預金などだけでなく、株式などの有価証券もありました。相続が開始されていちばん困るのが、被相続人がどのような財産を所有しているのかわからないということです。
例えば、現金の場合、自宅にある現金ならすぐに把握できますが、貸金庫などに保管している場合は、すぐにはわかりません。預金も同様です。普段使っている口座ならすぐにわかりますが、あまり使っていない口座や違う銀行に複数の口座がある場合は、把握しにくくなります。有価証券についても同じです。
もし、遺産を分割し、相続税の申告や納付が終了してから、気づいていなかった金融資産が見つかったら、また、最初の遺産分割からやり直しになり、再度、時間や労力、税理士などに支払う報酬などがかかってしまいます。
そこで、大切になるのが、普段から自分の持っている財産を分かるようにしておくことです。例えば、財産目録を作成し、どのような口座や有価証券などを所有しているか、またどこに預けているかなどを記載しておくのも1つの方法でしょう。
相続はいつ開始されるかわかりません。後に残された親族が困らないためにも、財産の管理はきちんとしておく必要があります。
預金は各銀行に「預金の残高証明書」を依頼する
では、相続が開始されたら、どのように金融資産を調べるのかを見ていきましょう。まずは預金です。預金は、ほとんどの被相続人が所有している財産です。はじめに、どれぐらいの預金(口座)を所有しているのかを確定させる必要があります。
まず、家に残っている通帳を確認します。これでは、普段使っている口座以外のものがある可能性があるので、クレジットカードの明細や公共料金の引き落とし口座などの確認、郵便物の確認などが必要です。
相続税は、相続開始時の預金の残高に課されます。そこで、所有している預金(口座)を確定ができたら、次は相続開始時の残高を確定させる必要があります。預金の残高は、「預金の残高証明書」で確認するのが一般的です。
「預金の残高証明書」は各銀行に発行を依頼します。金融機関名や口座番号などが分かれば、簡単に残高証明書を発行することが可能です。口座番号などが分からない場合は、金融機関で手続きを行う必要があります。残高証明書を発行するための手続きは金融機関ごとに異なります。そのため、まずは金融機関に問い合わせしましょう。
被相続人が、定期預金を所有している場合は少し手続きが異なります。定期預金の場合は、相続開始時の残高に既経過利息をプラスした金額に相続税がかかります。既経過利息とは、仮に相続開始日にその口座を解約した場合に付される利息のことです。
そのため定期預金を所有している場合は、残高証明書のほかに、「既経過利息計算書」が必要です。既経過利息計算書も各銀行に依頼すれば発行してくれます。
※金融機関に預金の残高証明書の発行を求めると、その口座は凍結されます。公共料金の引き落としがある場合などは、引き落とし銀行の変更手続きなどを先に済ませておきましょう。
有価証券は各証券会社に「証券残高通知書」を依頼する
次に、上場株式などの有価証券を所有している場合の確認方法を見ていきましょう。こちらも、まずはどの有価証券を所有しているのかを確定することから始めます。証券会社を通じて有価証券を購入している場合は、定期的に金融機関から取引の明細や残高の明細などが送られてきています。まずはその明細書を見つけ、所有している有価証券を確定します。
有価証券には、証券会社を通じずに購入している場合もあります。例えば、自分で会社を経営している場合や、知人の会社に出資している場合などです。その会社から配当がある場合は、通帳の記載やその会社から送付されている配当の計算明細書などから確認することが可能です。そうでない場合は、見つけることが困難です。そのため、生前に知人の会社に出資していることを聞いている場合は、あらかじめ確認しておいたほうが良いでしょう。
相続税は、原則、相続開始時の有価証券の残高に課されます。そこで、所有している有価証券を確定できたら、次は相続開始時の残高を確定させる必要があります。一般的に有価証券の残高は、各証券会社の「証券残高通知書」で確認します。証券残高通知書は、証券会社に発行を依頼します。知人の会社に出資などをしている場合は、直接その会社に連絡し、残高を問い合わせます。
金融資産の確認のためにも、相続が開始されたら早めに専門家に相談を
相続税の申告と納付の期限は、相続が開始されてから10か月です。その間に、被相続人の財産とその残高を確定し、相続人で遺産を分割する必要があります。正しく相続税の申告をするためにも、財産と残高を正確に確定させなければいけません。
ただし、金融資産には現金・預金や有価証券などさまざまなものがあり、それぞれで確定方法が異なります。金融資産を正しく確定させるためにも、相続が開始されたら、早めに税理士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。
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