初めての相続|相続税の申告手続きの流れを押さえよう

相続は人生でそう多く経験することはありませんし、誰でも初めて経験する時は立ち回り方が良く分からず苦労することになります。

相続に関連する各種の手続きに追われることになりますが、特に相続税の処理については期限があり、これを逸するとペナルティが課せられてしまうため分からないからといって放置しておくことはできません。

この章では相続の基本を押さえ、相続発生後に求められる各種手続きについて解説していきます。

相続は故人の財産を相続人に引き継ぐ手続き

相続には故人が生前に築いた大切な財産を一定の遺族に引き継ぐという大切な役割があります。

亡くなられた故人を「被相続人」、被相続人が残した財産を「相続財産」、相続財産を引き継ぐ者を「相続人」という呼び名で表します。

相続人となる権利のある人は配偶者、子、被相続人の親、あるいは兄弟姉妹といった者が挙げられますが、実際に相続人となれる人は個別のケースで異なります。

また落とし穴となるのが相続財産の内容です。

引き継がれる相続財産は現預金や不動産など、プラスの価値があるものだけではありません。

借金などのマイナスの価値がある財産も対象になるため注意を要します。

借金を相続するとどうなるか

被相続人に借金がある場合、そのマイナスの債務も相続で引き継がれる対象になります。

従って、そのまま相続すると債権者から借金の取り立てを受けてしまう恐れもあるということです。

マイナスよりもプラスの財産の方が大きければ借金を返済してもおつりが出ますが、マイナスの方が大きいと自分の財産を動員して借金を弁済しなければなりません。

従って被相続人がどのような財産をどのくらい残しているのかを調べる財産調査は特に重要な作業になります。

もし借金の方が大きければ後述する「相続放棄」という手続きが必要ですが期限があり、これを逸すると借金も自動的に引き継いでしまうことになります。

税金だけではない!相続発生後に必要な手続き

前項で説明した「相続放棄」は、プラスもマイナスもどちらの財産も一切引き継がず、相続人とならないことを選択する手続きです。

他に、プラスの財産の範囲でのみ、マイナス財産の返済の責任を負うことができる「限定承認」というものもあります。

相続放棄と限定承認を行うには相続開始から3か月以内(実際は相続発生を知った日の翌日から3か月以内)と決められており、これを逸すると自動的に相続を認める「単純承認」をしたとみなされてしまいます。

借金がどのくらいあるのかといった財産調査には時間がかかるので迅速に動くことが重要です。

相続開始から4か月以内には被相続人の所得税を申告納税する「準確定申告」という手続きもあります。

こちらの手続きの要不要の判断も難しいので税理士に判断を仰ぐのが賢明です。

そして最も重要な相続税の申告納税は相続発生から10か月以内となっています。

幾分余裕があるように感じますが、実際には申告手続きをするための「準備作業」に大変な時間と手間を割かれることになります。

これだけは押さえよう!相続税が発生する条件とは?

皆さんに最低限押さえてもらいたいのが、相続税の心配をする必要があるのかどうかの判断基準です。

相続税には「基礎控除」というものがあり、相続財産が基礎控除の枠内に収まる額であれば相続税の申告も納税も不要となります。

基礎控除は近年縮小されてしまいましたが、計算式で表すと以下のようになります。

「基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の数」

法定相続人が二人の場合は4200万円までの相続財産であれば相続税の心配はいらないということになります。

ただ、難しいのは相続財産に含むべきもの、逆に除外するものなど計算上様々な補正が必要であることや、法定相続人のカウントの仕方も民法と相続税法上で相違があるなど混乱しやすいため、素人判断で事を進めることは大きなリスクをはらみます。

個別のケースでその計算はより複雑になりますから、あなたのケースではどうなるのか、専門家である税理士に相談することは大きな意義があります。

税理士への相談は早めにしよう

相続に強い税理士は本章で取り上げてきた各種の手続きを代行したり、適切なアドバイスを行うことができます。

相続で特に留意すべきなのが、各種手続きの期限です。

相続放棄や限定承認をするならば相続開始から3か月以内という期限がありますが、その手続きをするべきか否かの判断には財産調査など手間と時間がかかる作業が必要です。

被相続人の準確定申告や相続税の申告納税についても同様で、手続きそのものよりも準備作業に時間がかかることは知っておかなければなりません。

従って、税理士への相談は早めにしておくと安心です。

相続発生後はできるだけ速やかに、できれば相続発生を予期した段階で予防的に税理士に相談しておくのがベストです。

当事務所では初回の相談は無料で、電話でもメールでも可能です。

心配な方はぜひ一度横浜・川崎の当事務所にご相談くださいませ。